鍋綿ブログ

C#・SharePoint・SharePoint Framework・Office365を中心に扱うブログです。

新しい言語設定機能でSharePointサイトはどこまで多言語対応できるか?

メッセージID:MC205516で発表された新しい多言語対応機能についてようやく試すことができました。とても良い機能だったのでリサーチ結果をご紹介します。

 

 

ざっくり画像でご紹介

 サンプルサイトを作って多言語してみた結果の画面が以下です。ニュースは全部のテストデータを翻訳するのが面倒なので最初の1個しかやってません。また、ファイルは翻訳できません。

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日本語ver

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英語ver

機能の概要

 元々、SharePointを含むOffice 365はログインユーザーの言語設定によってUIが日本語になったり英語になったりしていましたが、このアップデートでSharePointの各設定値やユーザーが投稿するニュースも複数言語向けに提供できるようになりました。(但しコミュニケーションサイトのみ)

 例えばサイトやニュースのタイトル、ニュースの本文、ナビゲーションなどサイトの管理者や投稿者が設定する文言を翻訳できるようになったことで、1つのサイトを多国籍のユーザーが利用するといった使い方がしやすくなりました。

 当記事ではこの多言語対応機能について詳しくご紹介します。以下のような運用をする前提に立ってご覧頂くと理解しやすいかと思います。

  ・各コンテンツはまず第一言語(例:日本語)向けに提供し、その後第二以下の言語(例:英語)向けに翻訳する。逆は無い。

  ・多言語対応の中身はあくまで「翻訳」であり「コンテンツの最適化」ではない(ある記事は英語だけで発信する、などはしない)

 

多言語対応機能を有効化する方法

 多言語対応機能は既定で有効化されていません。サイト毎に設定が必要です。設定はサイトの設定画面 > 言語設定 で行います。

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サイトの設定画面

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言語の設定画面

 ご覧のとおり「ページとニュースを多言語に翻訳できるようにする」をチェックして第二以下の言語を追加し、それぞれに翻訳担当者を割り当てます。詳細設定の中にある「翻訳の上書き」はオンにしておきます。サイトの第一言語は変更できないので、サイト作成時によく注意してください。

どうやって翻訳するか

 翻訳作業は日本語向けにSharePointサイトを設定したりページを編集する方法と全く同じです。第一言語が日本語、第二言語が英語のサイトがあったとして、Office 365を英語で利用しているユーザーがサイトを編集すると英語向けの設定値が書き換わり、日本語向けの設定値はそのまま、という仕組みです。

 例えばサイトのタイトルを翻訳したい場合、以下画像のように英語ユーザーが通常どおりの手順でタイトルを変更するだけで翻訳作業が完了してしまいます。当然ですが多言語対応していない箇所(ロゴ画像など)を変更すると日本語ユーザーにも影響します。

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例:サイトのタイトルを翻訳

 ページやニュースの翻訳は特殊で、まず該当言語向けのページを作成する必要があります。この作業は日英どちらのユーザーが行っても問題ないようです。 ある言語向けのページを作成すると、該当言語の翻訳担当者向けに翻訳依頼のメールが送信されます。

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ページにアクセスして翻訳ボタンから作成

 翻訳されたページは言語毎のフォルダ内に作られます。例えば英語向けのページは「en」フォルダ内に作成されました。日本語向けページとはファイルが別になっています。英語向けページに対する変更が日本語向けページに影響することはありません。  

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英語向けのページはenフォルダに作られる

 ページの翻訳が完了すると、ページ内で言語の切替ができるようになります。

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ページ毎の言語の切替

できること・できないこと

翻訳可能なもの

  • ハブ サイトの設定値
    • ナビゲーション
  •  サイトの設定値
    • タイトル
    • 説明
    • 用語セット
    • ナビゲーション
    • サイト列のタイトルと説明
    • サイト コンテンツタイプの名前と説明
  •  アプリの設定値
    • タイトル
    • 説明
    • 列のタイトルと説明
    • コンテンツタイプ名前と説明
    • ビューの名前とフィルタ条件の値
  •  ニュース
    • すべて(ファイルが別なので)

翻訳できないもの

  • ファイル
  • カスタム リストのアイテム
  • ニュースのテンプレート
  • 列の選択肢の値

 など「翻訳できるもの」に記載のないもの

その他注意事項

  • ナビゲーションは「翻訳」ができるが「追加/削除」はできない(例えば英語だけで見えるリンクなどは作れない)
  • ページが言語毎のファイル内にあることをビューの設定で意識する必要は無い(わざわざenフォルダから探さなくてもちゃんと見つけてくれる)
  • ビューのフィルタ条件を設定する際は何故か第一言語の値を記述しなければならないようだ(英語で書いても見つけてくれない)
  • ある言語向けのページに直接リンクを張ってしまうと意図しない動作をするかもしれない(ニュースWebパーツで「整理するニュース」に追加すると英語ユーザー向けにも日本語向けのページが表示されるなど)

ベストプラクティスらしきもの

  • ユーザーに選択肢を提供したいなら用語セットがベスト(選択肢も翻訳できる)
  • 新しいページを作る時は第一言語のユーザーが行うと良い(他言語のユーザーだと列の値を設定時に翻訳された選択肢が出ない)
  • 翻訳作業は該当言語のユーザーが行うと良い(他言語のユーザーだと列の値を設定時に翻訳された選択肢が出ない)
  • Webパーツのフィルタ条件も翻訳が必要なことに注意