鍋綿ブログ

C#・SharePoint・SharePoint Framework・Office365を中心に扱うブログです。

結局、SharePoint Onlineをどう使うべきなのか?ハマる使い方を考えた

SharePoint Online(シェア ポイント オンライン)は非常に機能が多いですが、どんなシステムでも「何にでも使えるよ!」なんてことはありません。
「Excel使って動画共有しようぜ」みたいな無茶は、不可能とは言えないまでも現実的ではないのです。
結局、開発側が想定する用途にマッチする使い方をするのが一番うまく使えるのではないでしょうか。

餅は餅屋。スプレッドシートはExcel。ならばSharePointは・・?
私は中の人ではないので機能から開発意図を想像するしかないのですが、モダン機能を前提に今のSharePoint Onlineのあるべき使い方を考えてみました。

 

 

よくあるサイト構成

まず、最近よくあるSharePointサイトの構成図を例示します。
特に多いご注文は「グループウェアからSharePointへの移行」ですので、
SharePointで構築した社内ポータルサイトの例を掲載します。

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全体的なサイト構成

これはあくまで例ですが、多くの構築プロジェクトに共通するポイントは以下です。

  • 全社ポータルのサイトコレクションを構築
    • 投稿を行わない閲覧専用サイトとして運用
    • ハブ サイトに設定
    • 各サイトの情報や天気、SNSなど外部サービスの情報を集約
    • 他にも必要なリンクをできるだけ網羅
    • 可能な限り全部のシステムへの入り口として機能
    • よってPCのスタートアップに登録することもよくある
  • 会社の機能毎にサイトコレクションを構築
    • 投稿先サイトとして運用
    • できれば部門単位ではなく機能単位(例えば経理部門は名称変更や統廃合があるが会社から経理の機能が無くなることは無いだろう、という目論見)
    • 説得に失敗して部門単位になることはある。但し組織が変わったらメンテが大変な事は覚悟の上。
    • ハブ サイトに参加
    • このサイトのトップページにはサイト内の情報だけ表示
  • これらすべてのサイトコレクションに共通のリンク集とテーマを提供
    • リンクはハブ サイトのナビゲーション機能で提供
    • 必要ならヘッダやフッタを開発

いかがでしょうか。
経理の人は経理のサイトにだけドンドン投稿していき、
全社ポータルには自動で情報集約がされて奇麗に見える、という仕掛けです。

SharePointサイトの分類

私の経験からSharePointサイトを勝手に分類してみました。
サイト設計の指標にどうぞ。

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サイトの分類

SharePointにおける推奨事項・非推奨事項

推奨事項・非推奨事項として、特にお客様へのご説明の機会が多い内容を例示します。

推奨事項

  • 1つのサイトの役割を小さくする
  • 1つのサイト内では権限を統一する
  • ハブ サイトを活用する

非推奨事項

  • サブサイトを作る
  • 1つのサイト内に権限の異なるコンテンツがある(あるフォルダだけ投稿可、とか)
  • 1つの巨大なサイトを作る(全社ポータルを1サイトで実現、とか。規模にもよる)

[参考] SharePointサイトはどうあるべきか

ここからは、前述のサイト構成や推奨・非推奨事項に落ち着いた背景として、私が考えた過程をつらつらと書いていきます。

モダン機能の進化の方向性から想像するSharePoint Onlineの使い方

モダン機能の機能拡充が進んだ今では、SharePointサイトにシンプルな情報を投稿し、閲覧する際の導線が非常に良くなりました。特に「ニュース」「イベント」「ドキュメント」「リスト」あたりが使いやすいです。

また外部サービスとの接続機能が豊富です。Twitter, Facebook, LinkedInなどのソーシャル機能とも連携できますし、Planner(タスク管理), PowerApps(ノンコーディングアプリ開発), Forms(アンケート), Stream(動画共有)などOffice 365内の別サービスとも繋がります。

一方で、サイト単体を凝った作りにすることは旨味が少ないです。

 ・1つのサイト内でコンテンツによって権限が違う

   ⇒ 例えば文書の投稿時に、「IT部門」フォルダには投稿できるけど「経理部門」フォルダには投稿できない、とか。

   ⇒ 権限管理が煩雑になるため非推奨です。

 ・ファイルごとに発信先を設定したい

   ⇒ 例えばこのニュースはIT部門だけにしか見せない!とか。

   ⇒ 所謂グループウェアによく見られた機能ですがSharePointでは実現不可。

 

これらを合わせて考えると、SharePointモダン機能は以下のような使い方を想定して構築されているのではないでしょうか。

  • SharePointに投稿する情報はユーザー間で「共有」するもの(部外秘などの機密情報ではなく)。従って権限管理はできるだけシンプルに設計する。
  • SharePoint内で凝ったことをせず、シンプルな情報共有に使う。1つのサイトの役割を小さくする。
  • そうしていくつかに分けたSharePointサイトや外部サービスの情報を集約して表示する「ポータルサイト」を作る。

Micorosoft公式サイトから読み解くSharePoint Onlineの使い方

機械翻訳なので死ぬほど読みづらいのですが、Microsoft公式サイトにSharePoint活用のヒントとなる情報が載っています。

SharePoint のハブ サイトの計画 | Microsoft Docs

長いのでギュッ!と意訳しますが、SharePointでは以下をやれと書いてある気がします。

  • コミュニケーション

 社内の主要なニュースや文書、ツールなどの発信場所。
「ニュース」「ドキュメント」「イベント」「リンク集」くらいのコンテンツを持つサイトをイメージするとだいたい合ってる。
情報発信は一方通行で、限られた投稿者が発信し、全社員が見るようなサイト。

  • コラボレーション

 チーム単位での作業や情報共有の場所。
「チーム」の単位は小さく、プロジェクト毎に1チーム(=1サイト)くらいのイメージ。組織横断的なチームもあり得る。
「ドキュメント」「イベント」などのコンテンツを持っており、それぞれのサイトがTeamsグループに接続していて、チーム内のコミュニケーションをTeamsで行っている。

あ、それだけ?ってくらいシンプルな用途を想定してるようです。

モダン機能に対するカスタマイズ(開発)を経験した感想

開発はクラシック時代よりも積極的に行ってよさそうです。
SharePointモダン機能で動作する開発は、クラシック機能での開発に比べてだいぶん洗練されました。具体的には「SharePoint Framework」という仕組みで開発を行うことになりますが、この仕組みは(よほど酷い実装をしない限り)SharePoint標準機能に悪影響を及ぼすことがなく、SharePointのアップデートにも強いものになっています。
Webパーツの開発やヘッダ・フッタの追加、カスタムコマンドの追加、ビューのカスタマイズなどガンガンやっていいと思います。

 

最後に、以下の記事で活用事例など紹介しておりますのでどうぞ。

www.micknabewata.com

 

以上、Microsoftの公式見解ではなく私の個人的な考えではありますが、皆様の参考になれば幸いです。